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思考の泡

プログラミング、サイエンス、その他日常のことをゆるゆると

ブラックホールからエネルギーを取り出せるか?

ブラックホールはその強力な重力ゆえに全ての物質を飲み込んでしまいます。光でさえもそこから抜け出せません。

光さえ飲み込んでしまうということで、昔のSF小説などに出てきたブラックホールは目に見えない黒い渦巻みたいで、知らない間に近付いてしまうとても危険な物体として描かれていました。

しかし実際のブラックホールはというと、強烈な電磁波を発して明るく光輝いているのです。

物質がブラックホールに落ち込むときに強烈な運動エネルギーを得ます。運動エネルギーを得た物質同士は激しくぶつかり合い、光や電磁波を発生します。更に電荷を帯びた粒子が磁界の中を移動するとそれだけで電磁波を発生します。

このように周りから物質を吸い込んでいる限りブラックホールは強烈に光輝いているのです。ブラックホールの生成過程を考えるとブラックホールの回りには星の名残りであるガスやチリが大量の漂っていて、かなり長い間ブラックホールは光輝くはずです。

皮肉なことにブラックホール近傍は数十億度もの温度があり、宇宙の中でも最も明るく輝いている領域なのです。

誤解の無いように言っておきますが、既にブラックホールの内部の落ち込んでしまった物質は当然外に向って光を発することはできません。あくまでもブラックホール内部に落ち込む一歩手前のところで断末魔のように物質が光輝いているのです。

ではこの明るく輝くブラックホールをエネルギー源として使えないでしょうか?

原理的には可能だと思います。しかし様々な技術的困難があります。

まず質量が太陽の数十倍もあるような天体規模のブラックホールの場合、太陽系の中に引き込んだだけで、各惑星が影響を受け、公転軌道が滅茶苦茶になってしまいます。

では小さなブラックホール(マイクロ・ブラックホール)ではどうでしょう?ここで問題になるのは、そもそもある程度以下の小さなブラックホールはこの宇宙の存在するかどうかすら分っていないことです。少なくとも既知の物理現象でマイクロ・ブラックホールが生成する過程は知られていません。しかし可能性はあります。唯一マイクロ・ブラックホールが生まれたかもしれない宇宙現象があるのです。

それはビッグバンです。ビッグバンのどさくさ紛れであればマイクロ・ブラックホールが生成されたかもしれず、それが今でもこの宇宙を漂っているかもしれないのです。

 運よくマイクロ・ブラックホールが見つかったとして、それを安全にコントロールできれば、これはエネルギー源として使えるかもしれません。このエネルギー源のすばらしいところは燃料が何でもいいということです。とにかく物質をブラックホールに落とし込みさえすればエネルギーを得られるということです。それもかなりの高効率で。

昔読んだアーサー・C・クラークの小説に、マイクロ・ブラックホールに霧を吹きかけてエネルギーを得るブラックホール・エンジンを搭載した宇宙船が出てきたのを憶えています。しかしこのブラックホール・エンジン、マイクロとはいえブラックホール自体が相当な質量を持っている筈です。この宇宙船を動かすにはその質量を駆動するのに充分なエネルギーを取り出せるかが鍵になります。