重力波を初観測!
本日「アメリカのチームが重力波を初観測」というニュースが飛び込んできました。テレビでもさかんに取り上げられています。
まあ重力波に関しては以前からその存在を疑う研究者はまずいませんでした。観測されるのも時間の問題であると考えられていました。
アインシュタインが予測してから100年。何故こんなにも時間がかかったのかというと、自然界に存在する4つの力の中で重力だけが桁違いに小さいからです。自然界の存在する力は突き詰めていくと以下の4つの力に落ち着きます。
- 重力
- 電磁気力
- 強い力
- 弱い力
重力と電磁気力はまあ分かると思いますが、「強い力」「弱い力」というのは原子核の中とかで素粒子間に働く力です。(それにしてももう少し気のきいた名前の付け方なかったのかなと思います。)
重力だけがこの中でもうお話にならないくらい小さいのです。重力は日常生活の中で一番実感として感じられる力であることからするとこれは意外かもしれません。しかし他の3つは素粒子一つのレベルで働くのに対し、重力は月や地球のように天体規模の質量が集まらないと観測できるレベルにならないのです。
重力波=空間のゆがみであることが知られていますが、このゆがみというのがシャレにならなくらい小さくて、検出するにはとてつもない高精度の観測が必要になります。これがとにかく大変だったのです。
では重力波で何が変るのでしょう?
最も期待されているのは、今まで光(電波やX線等も含めて)でしか観測することができなかった宇宙が、重力波によって観測できるようになることです。
光は障害物があれば遮られてしまい、ガス雲があれば吸収されてしまうし、ブラックホールがあれば吸い込まれてしまったりもします。光で観測できる宇宙はこうした障害物をかろうじてくぐり抜けてきたごく僅かなものだけなのです。
しかし重力波はこういったものにほんとんど影響を受けません。行く手に巨大な天体があっても平然と突き抜けて、宇宙空間をなめらかに進んでいきます。ビッグバン直後に発生した重力波が今でも宇宙をつき進んでいるとも考えられています。
また光は素粒子間の相互作用で発生する非常にミクロな現象です。それに対して重力波は大きな天体が移動することにより発生するマクロな現象です。今までとはまったく違う宇宙象が見えてくることでしょう。
しかし科学ニュースって忘れられるのも早いんだよな。一年もすればこんなニュースがあったことすら人々の記憶からは消えてしまうことでしょう。皆さん憶えていますか、数年前にヒッグス粒子の発見という大ニュースがあったのを?