思考の泡

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Google AdSense 審査の傾向と対策

AdSense はブログを収益化する最も有効な手段です。単価も高く、数あるブログ収益サービスの中でも絶大な人気を誇っています。しかしAdSenseには厳しい審査があることでも知られています。

英語版AdSenseヘルプフォーラムで繰り返し使われるフレーズですが、申請の9割以上は落とされているそうです。英語圏全てから応募が来る米Googleの数字がそのまま日本に当てはまるか分かりませんが、何れにしろ相当狭き門であることには確かです。

日英問わずAdSenseヘルプフォーラムには、審査に通らないがブログのどこが悪いのか、という問い合わせが多数寄せられています。こういった質問をウォッチしていると、審査に通らないブログのアンチパターンがというものが見えてきます。

 

私も少し前に AdSense 審査を受けました。(AdMobからのアップグレードなので二次審査のみでしたが。) ブログの経験もないし、全く新規に始めたブログです。固定読者もいないし、アクセスもほんとんどありませんでした。事前のリサーチで相当厳しいことは理解していてたので、まあ一回で通る訳ないだろうと覚悟はしていました。しかし申請してみると10日目くらいでであっさり合格通知が来ました。一発合格です。まだ20記事くらいしか無い段階です。あまりにも簡単にパスしてしまったので、何が評価されたのかよく分かりません。しかし思いあたることはいくつかあります。

ヘルプフォーラムから見えてくるアンチパターンと自分の経験を踏まえ、AdSense合格への傾向と対策を考えてみたいと思います。

 

巷の噂に惑わされない

ネット上にはAdSenseに関する膨大な情報があります。しかし AdSense の審査システムは常に変化してるので、内容はすぐに古くなってしまいます。半年くらい前のものでも今のシステムには通用しないものがかなりあります。ネットの情報を盲信しないようにしましょう。

例えば、AdSense は一次・二次の二段階審査制ですが、かつては一次審査は単なる事務的・形式的なもので、本番は二次審査だけでした。そう説明されているページも多くあります。それが今年になってから、一次の段階でブログの内容が厳しくチェックされるよになりました。今後もシステムはどんどん変化していくでしょう。ネットの情報に振り回されないようにしましょう。

 

あとネット上には写真やリンクを貼ると審査に通らないなどという情報もあるようです。この情報、不気味なくらい初心者の頭を支配しているようです。が、これは全くの誤りです。写真はブログの見栄えをよくする強力なツールです。リンクはコンピュータ技術が生み出した最も偉大な発明の一つです。大いに利用しましょう。

しかしこう書くと、ネット世界の常識の振り幅は広いのもで、ネットで拾ってきた画像を何も考えず貼りつけるバカが必ず出てきます。あくまでも著作権やプライバシー的に100%問題が無いと自信を持って言えるもののみです。リンクもあからさまにアフィリエイトサイトに誘導するようなものは当然NGです。

まあこの位は常識で考えれば分かると思いますが。この程度の常識感覚が無い人は、そもそも AdSense は無理なので、最初からあきらめた方がいいでしょう。

 

HTMLタグを正しく使いましょう

審査に通らないダメブログに特徴的なのが、HTMLタグの使い方が滅茶苦茶だということです。簡易編集機能を使えば HTML を意識しなくても、とりあえずブログは書けてしまいます。しかし自分の書いた文章がどんな HTML タグで公開されているのかくらいは意識しておきましょう。

HTML と聞いただけで拒否反応を示す人もいるかもしてません。誰にも見向きもされないような個人的な日記であれば何でも構いませんが、人様に読んでもらって幾ばくかの利益を得ようとするのであれば、少なくともシステムを理解するくらいの最低限のプロ意識は持ちましょう。
Web 技術を支える HTML に関する情報はネット上にいくらでもあります。本を買う必要などありません。

 

まともな日本語を書きましょう

日本語をちゃんと書くということ。最近やたら改行の多い変なブログをよく見かけます。一文ごとに改行しているなどまだいい方で(良くないけど)、文の途中で、ほんとんど気分次第で改行しているものもあります。日本語の体をなしていません。ダメブログのもう一つの特徴がこれです。

まあこいった見た目がスカスカなブログは、一目見ただけで中身も薄いことが分かるので、読み飛ばすのに便利といえば便利なのですが。

日本語(に限りせんが)には文、段落、章といった基本構造があります。そしてその基本構造をサポートする形で HTML タグが存在します。これらを適切に使うと、明示的に改行など入れる必要などなくなります。

新聞記事を想像するといいでしょう。無駄な改行は一切入っていません。改行するのは段落の終わりだけです。

何もうまい文章を書けと言っている訳ではありません。そんなのは誰にでもできる事ではありません。最低限まともな日本語を書けというだけです。


オリジナリティのある記事を書く

「初心者は日記的な記事を書くとよい」といったような情報がどこかにあるようです。昔はそれでも通ったようですが、今は個人的な日記では審査はまず通らなくなっています。ダメブログの三つめのパターンがこの日記系のブログです。どこかへ行ったとか、何かを食べたとか、目の前で起こった事をただダラダラと書いていうだけというやつです。

日常の出来事で勝負するなら、よほどユニークな視点を持ち、よほど秀でた表現力が無いと人の興味を引くことはできません。これはプロの作家でも難しい事です。

AdSense が求めているのは、広告価値のある記事、例えば人が読んで面白いとか、何か役に立ったとか、探している情報が見つかった、といったものです。

自分は文章を書く時に常に心掛けていることがあります。井上ひさし氏が作文を書くコツとして挙げていた内容です。それは「自分にしか書けなことを、誰にでも分かるように書く」という事です。

ここで二つの事を言っています。「自分にしか書けないこと」と「誰にでも分かるように書く」ということ。

「自分にしか書けないこと」というのはオリジナリティのある題材を書くということです。例えばちょっとした豆知識的な事を書こうと思った場合、検索をしてみて何百件、何千件もヒットするような内容であれば、当然オリジナリティがあるとは言えません。しかしどうしてもその記事を書きたいというのであれば、必ず何らかの独自な視点からのプラスアルファが必要です。

次に「誰にでも分かるように書く」ということ。これも簡単な事ではありません。井上氏は「誰にでも分かるように書く」ということは、「徹底的に読者の事を考えること」だとも言っています。

井上ひさし氏の文章が平易で分かり易く、そして面白いのは、徹底的に読者のことを考えているからです。氏の文章はどこを読んでもスッと頭に入ってきます。スラスラ書いているように見えますが、実は身を削るような思いで一つ一つ言葉を選んでると、エッセイで書いておられました。

私は文章を書くのは苦手だし、うまい文章を書けるわけでもありません。なので文章を書く時は、主語を述語が離れ過ぎていないか?点の打ち方は適切か?読者の思考の流れを分断していないか?とかを常に自問しています。また書いては直し、書いては直し、の推敲を何度も重ねています。とても話すようにスラスラ書くなんてことはできません。

 

ヘルプフォーラムを活用しよう

AdSense はとにかくトラブルが多いのも特徴かもしれません。これは複雑怪奇なくせに厳格なルール、意味不明で不親切なメッセージ、(何のアナウンスも無しに)コロコロ変化するシステムなど、様々な理由があります。更に話を複雑にしているのが、Google 側のシステムもよくトラブルを抱えているという事です。

トラブルに遭った場合、頼りになるのがAdSenseヘルプフォーラムです。質問する前にまずヘルプフォーラムを検索してみましょう。トラブルパターンは既にほぼ出尽くしています。これも英語版のヘルプフォーラムの言葉ですが、寄せられる質問のうち 999/1000 は既出の質問で、同じ解答を100回は繰り返している、と言っています。

またヘルプフォーラムを利用するにあたり、知っておくべきことがあります。まずヘルプフォーラムが Google への窓口ではないということです。ヘルプフォーラムはあくまでもユーザ同士の情報共有の場所です。解答してくれるのは知識豊富な一般ユーザです。Google の社員ではありません。そこのところはちゃんと押さえた上で利用しましょう。

英語ヘルプフォーラムでは、箸にも棒にも引っ掛からないようなあまりにも酷いブログだと、スパムブログだとか、泥棒記事だとか、かなりきつい言葉で非難されることがあります。その点日本語ヘルプフォーラムは皆紳士的なので、ほんとど質問に対し非常に丁寧な解答が得られます。安心して利用しましょう。

ヘルプフォーラムはまた最新の情報を仕入れるのにも役に立ちます。最近1ヶ月くらいの記事を眺めてみましょう。だいたいの傾向が捉めると思います。

 

AdSense 審査は年々厳しくなっていく傾向にあります。クオリティの低いブログは排除しようという Google の意図が見てとれます。まあこれは、広告主の利益を保護する義務のある Google にとってみれば当然の行為です。

今後もどんどん厳しくなるでしょう。例えば海外では6ヶ月以上の運用実績が無いとダメなどといったルールもあります。日本のAdSenseにはまだこのルールはありませんが、海外のルールが少し遅れて日本に導入されるというパターンが最近よく見られます。思い立ったらできるだけ早く審査に応募してみるのがいいでしょう。

では皆様頑張ってください。