思考の泡

プログラミング、サイエンス、その他日常のことをゆるゆると

どうしても WiFi に繋がらない時、最後にやったこと

自宅のWiFiがある日まったく繋がらなくなってしまいました。まあよくある事なので、こういう時はだいたい以下の事をやることにしています。 

  • クライアントデバイスを再起動する。
  • 無線ルーターを再起動する(ブラウザのGUIから)
  • 無線ルーターの電源を一度切り、再起動する

経験から言うと、だいたいこの中どれかで復旧します。

 

しかし今回ばかりはどれをやっても復旧しません。最後には無線ルーターの初期化までやってみました。初期化した直後は一旦復旧したかに見えたのですが、数分するとまた元の状態に戻ってしまいました。

 

PC やスマホタブレットから接続してもまったく繋りません。メッセージからすると、認証は通って、IPの取得くらいまでは行っているようですが、結局接続できません。正確に言うと、10回に一回位は接続できるのですが、数分でまた切れてしまいます。こういう時は WindowsAndroid も単に接続できないだけで、問題解決に至る情報をまったく与えてくれません。

 

24時間、365日、5年くらい電源を入れっぱなしなので、流石に素子が劣化したかとも思いました。しかし有線でのインターネット接続に関してはまったく問題ありません。完全にお手上げです。

 

自宅はマンションなので、近隣のWiFiの電波が山の様に飛び交っています。inSSIDer や WiFi Analyzer で見てみると山が乱立しています。多分電波干渉で接続が不安定になっているのが原因だとは思います。真剣に5GHz帯への移行を考えるべき時かもしれません。

 

しかし繰り返し無線ルーターを再起動していて、あることに気がつきました。Buffalo の無線ルーターWiFiのチャンネル設定はオートにしてあるのですが、いくら再起動してもいつもチャンネル1のままなのです。このオートの意味、よく理解していないのですが、適当に空いているチャンネルを選択してくれるくらいに思っていました。これは単なる思い込みかも知れません。まあ最適なチャンネルではないまでも、ランダムに選択してくれるのではないかくらいには考えていました。しかしこの時は何度やっても、チャンネル1から移動しないのです。

 

なので駄目モトでマニュアルでチャンネルを一番離れたチャンネル13に変えてみました。ビンゴ!これで安定した接続が復旧しました。

 

チャンネル設定のオートは意外な盲点かもしれません。もし普段安定しているWiFiがどうしても繋がらなくなってしまった時は、マニュアルでチャンネルを変えてみるのも一つの手です。これ、あまり解説しているところも無いようです。

「火垂るの墓」の衝撃

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外人が映画「火垂るの墓」を観て号泣している姿が YouTube に多数アップされています。映画に対するコメントも多数寄せられていて、「人類が生み出した最も悲しい映画」だとか「立ち直るのに数ヶ月かかった」だとか最大級の賛辞が与えられています。

人種や国籍を越えて人の心を打つ作品です。人の心に訴えるのは素晴しいことだと思いますが、しかしジブリ好きのアニメファンが何の心構えもなく観てしまうと、トラウマになってしまうかもしれません。

 

この作品が公開された当時、トトロとの同時上映だったというのはちょっと驚きです。当時の人々はどう受け止めたのでしょう?

 

それにしてもこの映画、あまりにもつら過ぎます。自分は野坂昭如氏の原作はかなり前に読んでいて、ストーリーは一応知っていましたが、それでも映画を初めて観たときは落ち込みました。野坂氏独特のあの読みにくい文体でストーリーを追うのと、アニメで映像が直接頭に入ってくるのではやはり衝撃力が違います。

 

日本ではテレビでよくこの映画が放映されるという話を外人にしたら、日本人はバカか、こんなつらい映画よく何度も観られるなと言っていました。

 

実写ドラマ化もされているようですが自分は観ていません。肌艶のいい役者さんが演じたりしているとリアリティがなくなる作品です。ましてや大物の役者が出ていたりすると、裏で高額のギャラが支払われているなどという下世話な想像をしてしまい、それだけで物語が安っぽくなるような気がします。

その意味でアニメの手法を取ったのは非常に正しい選択だったと思います。節子がだんだん衰弱していく姿がこれ以上ないくらいのリアリティを持って伝わってきます。

 

多くの人に観てもらいたい作品ですが、自分で繰り返し観る勇気はありません。

プロクシマ・ケンタウリ

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ケンタウスル座のアルファ星(一番明るい星)は通称「アルファ・ケンタウリ」と呼ばれ、全天の中でも最も明るい星、21個ある一等星の一つでもあります。この星が明るいのには理由があります。それは太陽系から最も近い星だからです。近いといっても太陽から4.39光年の距離です。

このアルファ・ケンタウリ、実は三重連星であることが知られています。つまり三つの星が互いの回りを回り合っているのです。三つの星はそれぞれ、主星(A星)、第一伴星(B星)、第二伴星(C星)と呼ばれます。第二伴星はA,B星からかなり離れていて、更に太陽系に近い場所にあります。太陽から4.22光年の距離です。連星としての公転周期は100万年にもなるので、当面この第二伴星が太陽に最も近い星ということになります。なのでこの星には特別に「プロキシマ・ケンタウリ」という名前を持っています。「プロキシマ」とはラテン語で「最も近い」という意味です。この星は滅茶苦茶小さくて暗いので、肉眼で見ることはできません。

 

さてこのプロキシマ・ケンタウリ星系に生命が存在できるかもしれない惑星が見つかったというニュースが報道されました。NHK や民放のテレビニュースでもやっていました。

news.mynavi.jp

今にも生命が発見されるのではというくらいの勢いで報道されているようですが、実際には、地球と同じくらいの大きさで、恒星の性質とその距離からして、水が液体の状態で存在してもおかしくないことが分かったという程度ことです。実際に水が存在することが観測された訳ではありません。何しろ4光年先の話、これ以上のことは観測装置を飛ばさないと分からないかもしれません。実際に探査機を飛ばそうという計画もあるようです。

japanese.engadget.com

 また上にも書いたようにアルファ・ケンタウリは三重連星なので複雑な動きをし、環境の変化があまりにも大きく、生命の存在には適さないという意見も昔からあります。

 

それにしても、アルファ・ケンタウリは太陽から最も近い星ということで、魅力的な星であることには間違いありません。昔からよくSFの舞台になっています。映画「アバター」の舞台もアルファ・ケンタウリ星系の惑星でした。

自分は、大昔に読んだロバート・A・ハインラインSF小説「宇宙の孤児」が強烈に印象に残っています。アルファ・ケンタウリを目指して旅をしている世代間宇宙船。船内では世代を重ねるにつれ、当初の目的や文明が忘れ去られ、独自の世界観、哲学が構築されてしまいました。船の奥深くに巣喰っているミュータントとの出会いを切っ掛けに、主人公は徐々に旅の目的を見出していきます。何だかんだあって、アルファ・ケンタウリ星系の惑星に到達して主人公が大地に足をしるしたところで物語は終わっています。

 

時々こういった科学ニュースが世間を賑わせます。自分は、くだらない政治ニュースや芸能スキャンダルなどより、よっぽど胸がワクワクします。でも多くの人は違うだろうな。

Android ゲームアプリ RemoV 公開しました

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Merged! という中毒性の高いゲームがあります。何の気なしにやってみたら、あまりにも面白くてやめられなくなってしまいました。

既にパターンの出尽してしまった感のあるパズルゲームですが、アイデア次第でまだこんなに素晴しいゲームも作れるんだという手本みたいなものです。このゲームに触発され、自分も作ってみました。

 

その名を RemoV と言います。以下キャプチャ画面です。

 

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次々と表われるブロックを配置し、縦、横隣接するブロックを同色にします。4つ以上揃うとブロックが削除され、削除された数字が得点になります。配置したブロックは数字が一つ増えます。配置するブロックをタップすると90度回転させることができます。

 ボーナスパターンとして、縦一列か横一列に揃えるとそのライン全体が削除されます。またコーナーの2x2のブロックを揃えると、更にその外側一列が削除されます。 

 1ゲームでブロックを50個削除する毎にコインが一枚与えられます。コインを使うと手をパスすることができます。コインは別途購入することもできます。

 

ゲーム自体の実装はそれほど大変ではなかったのですが、AdMob、Play Game Services、アプリ内購入、Analytics といった本質とあまり関係のないところに時間がかかってしまいました。開発時間の半分くらいはこれらの実装にかかりました。しかし実に楽しい一時でした。

 

 ゲームが終わりそうになってからの逆転があったり、意外な連鎖が発生したりと、時間を忘れて集中できるゲームになりました。無料ですので、Android な方は使ってみてください。

Google AdSense 審査の傾向と対策

AdSense はブログを収益化する最も有効な手段です。単価も高く、数あるブログ収益サービスの中でも絶大な人気を誇っています。しかしAdSenseには厳しい審査があることでも知られています。

英語版AdSenseヘルプフォーラムで繰り返し使われるフレーズですが、申請の9割以上は落とされているそうです。英語圏全てから応募が来る米Googleの数字がそのまま日本に当てはまるか分かりませんが、何れにしろ相当狭き門であることには確かです。

日英問わずAdSenseヘルプフォーラムには、審査に通らないがブログのどこが悪いのか、という問い合わせが多数寄せられています。こういった質問をウォッチしていると、審査に通らないブログのアンチパターンがというものが見えてきます。

 

私も少し前に AdSense 審査を受けました。(AdMobからのアップグレードなので二次審査のみでしたが。) ブログの経験もないし、全く新規に始めたブログです。固定読者もいないし、アクセスもほんとんどありませんでした。事前のリサーチで相当厳しいことは理解していてたので、まあ一回で通る訳ないだろうと覚悟はしていました。しかし申請してみると10日目くらいでであっさり合格通知が来ました。一発合格です。まだ20記事くらいしか無い段階です。あまりにも簡単にパスしてしまったので、何が評価されたのかよく分かりません。しかし思いあたることはいくつかあります。

ヘルプフォーラムから見えてくるアンチパターンと自分の経験を踏まえ、AdSense合格への傾向と対策を考えてみたいと思います。

 

巷の噂に惑わされない

ネット上にはAdSenseに関する膨大な情報があります。しかし AdSense の審査システムは常に変化してるので、内容はすぐに古くなってしまいます。半年くらい前のものでも今のシステムには通用しないものがかなりあります。ネットの情報を盲信しないようにしましょう。

例えば、AdSense は一次・二次の二段階審査制ですが、かつては一次審査は単なる事務的・形式的なもので、本番は二次審査だけでした。そう説明されているページも多くあります。それが今年になってから、一次の段階でブログの内容が厳しくチェックされるよになりました。今後もシステムはどんどん変化していくでしょう。ネットの情報に振り回されないようにしましょう。

 

あとネット上には写真やリンクを貼ると審査に通らないなどという情報もあるようです。この情報、不気味なくらい初心者の頭を支配しているようです。が、これは全くの誤りです。写真はブログの見栄えをよくする強力なツールです。リンクはコンピュータ技術が生み出した最も偉大な発明の一つです。大いに利用しましょう。

しかしこう書くと、ネット世界の常識の振り幅は広いのもで、ネットで拾ってきた画像を何も考えず貼りつけるバカが必ず出てきます。あくまでも著作権やプライバシー的に100%問題が無いと自信を持って言えるもののみです。リンクもあからさまにアフィリエイトサイトに誘導するようなものは当然NGです。

まあこの位は常識で考えれば分かると思いますが。この程度の常識感覚が無い人は、そもそも AdSense は無理なので、最初からあきらめた方がいいでしょう。

 

HTMLタグを正しく使いましょう

審査に通らないダメブログに特徴的なのが、HTMLタグの使い方が滅茶苦茶だということです。簡易編集機能を使えば HTML を意識しなくても、とりあえずブログは書けてしまいます。しかし自分の書いた文章がどんな HTML タグで公開されているのかくらいは意識しておきましょう。

HTML と聞いただけで拒否反応を示す人もいるかもしてません。誰にも見向きもされないような個人的な日記であれば何でも構いませんが、人様に読んでもらって幾ばくかの利益を得ようとするのであれば、少なくともシステムを理解するくらいの最低限のプロ意識は持ちましょう。
Web 技術を支える HTML に関する情報はネット上にいくらでもあります。本を買う必要などありません。

 

まともな日本語を書きましょう

日本語をちゃんと書くということ。最近やたら改行の多い変なブログをよく見かけます。一文ごとに改行しているなどまだいい方で(良くないけど)、文の途中で、ほんとんど気分次第で改行しているものもあります。日本語の体をなしていません。ダメブログのもう一つの特徴がこれです。

まあこいった見た目がスカスカなブログは、一目見ただけで中身も薄いことが分かるので、読み飛ばすのに便利といえば便利なのですが。

日本語(に限りせんが)には文、段落、章といった基本構造があります。そしてその基本構造をサポートする形で HTML タグが存在します。これらを適切に使うと、明示的に改行など入れる必要などなくなります。

新聞記事を想像するといいでしょう。無駄な改行は一切入っていません。改行するのは段落の終わりだけです。

何もうまい文章を書けと言っている訳ではありません。そんなのは誰にでもできる事ではありません。最低限まともな日本語を書けというだけです。


オリジナリティのある記事を書く

「初心者は日記的な記事を書くとよい」といったような情報がどこかにあるようです。昔はそれでも通ったようですが、今は個人的な日記では審査はまず通らなくなっています。ダメブログの三つめのパターンがこの日記系のブログです。どこかへ行ったとか、何かを食べたとか、目の前で起こった事をただダラダラと書いていうだけというやつです。

日常の出来事で勝負するなら、よほどユニークな視点を持ち、よほど秀でた表現力が無いと人の興味を引くことはできません。これはプロの作家でも難しい事です。

AdSense が求めているのは、広告価値のある記事、例えば人が読んで面白いとか、何か役に立ったとか、探している情報が見つかった、といったものです。

自分は文章を書く時に常に心掛けていることがあります。井上ひさし氏が作文を書くコツとして挙げていた内容です。それは「自分にしか書けなことを、誰にでも分かるように書く」という事です。

ここで二つの事を言っています。「自分にしか書けないこと」と「誰にでも分かるように書く」ということ。

「自分にしか書けないこと」というのはオリジナリティのある題材を書くということです。例えばちょっとした豆知識的な事を書こうと思った場合、検索をしてみて何百件、何千件もヒットするような内容であれば、当然オリジナリティがあるとは言えません。しかしどうしてもその記事を書きたいというのであれば、必ず何らかの独自な視点からのプラスアルファが必要です。

次に「誰にでも分かるように書く」ということ。これも簡単な事ではありません。井上氏は「誰にでも分かるように書く」ということは、「徹底的に読者の事を考えること」だとも言っています。

井上ひさし氏の文章が平易で分かり易く、そして面白いのは、徹底的に読者のことを考えているからです。氏の文章はどこを読んでもスッと頭に入ってきます。スラスラ書いているように見えますが、実は身を削るような思いで一つ一つ言葉を選んでると、エッセイで書いておられました。

私は文章を書くのは苦手だし、うまい文章を書けるわけでもありません。なので文章を書く時は、主語を述語が離れ過ぎていないか?点の打ち方は適切か?読者の思考の流れを分断していないか?とかを常に自問しています。また書いては直し、書いては直し、の推敲を何度も重ねています。とても話すようにスラスラ書くなんてことはできません。

 

ヘルプフォーラムを活用しよう

AdSense はとにかくトラブルが多いのも特徴かもしれません。これは複雑怪奇なくせに厳格なルール、意味不明で不親切なメッセージ、(何のアナウンスも無しに)コロコロ変化するシステムなど、様々な理由があります。更に話を複雑にしているのが、Google 側のシステムもよくトラブルを抱えているという事です。

トラブルに遭った場合、頼りになるのがAdSenseヘルプフォーラムです。質問する前にまずヘルプフォーラムを検索してみましょう。トラブルパターンは既にほぼ出尽くしています。これも英語版のヘルプフォーラムの言葉ですが、寄せられる質問のうち 999/1000 は既出の質問で、同じ解答を100回は繰り返している、と言っています。

またヘルプフォーラムを利用するにあたり、知っておくべきことがあります。まずヘルプフォーラムが Google への窓口ではないということです。ヘルプフォーラムはあくまでもユーザ同士の情報共有の場所です。解答してくれるのは知識豊富な一般ユーザです。Google の社員ではありません。そこのところはちゃんと押さえた上で利用しましょう。

英語ヘルプフォーラムでは、箸にも棒にも引っ掛からないようなあまりにも酷いブログだと、スパムブログだとか、泥棒記事だとか、かなりきつい言葉で非難されることがあります。その点日本語ヘルプフォーラムは皆紳士的なので、ほんとど質問に対し非常に丁寧な解答が得られます。安心して利用しましょう。

ヘルプフォーラムはまた最新の情報を仕入れるのにも役に立ちます。最近1ヶ月くらいの記事を眺めてみましょう。だいたいの傾向が捉めると思います。

 

AdSense 審査は年々厳しくなっていく傾向にあります。クオリティの低いブログは排除しようという Google の意図が見てとれます。まあこれは、広告主の利益を保護する義務のある Google にとってみれば当然の行為です。

今後もどんどん厳しくなるでしょう。例えば海外では6ヶ月以上の運用実績が無いとダメなどといったルールもあります。日本のAdSenseにはまだこのルールはありませんが、海外のルールが少し遅れて日本に導入されるというパターンが最近よく見られます。思い立ったらできるだけ早く審査に応募してみるのがいいでしょう。

では皆様頑張ってください。

復号化する?

大学時代、暗号理論を専門とする研究室に所属していました。その担当教授が言っていた言葉が今でも記憶に残っています。

 「暗号化する」という言葉はあるが、「復号化する」という言葉は無い。それを言うなら「復号する」だ、と。

言われてみるとなるほどなと思いました。「復号化する」は確かに冗長な感じがします。以来、自分で書く文章には「復号化する」は決して使わないよう心掛けてきました。しかし回りを見回すとこの「復号化する」けっこうよく見掛けます。

  

「〜する」はあらゆる名詞の後に付いてそれを動詞にしてしまう便利な言葉です。しかし直接「する」を繋げられる名詞と、いったん「化」を付けてからでないと「する」を繋げられない名詞があります。この違いは何なのでしょう?例えば「仮装(火葬)する」と「仮想化する」。同じ読みでも意味によって、我々は無意識に使い分けています。単に語呂だけではないようです。外人にこの違い説明できますか?

長い間疑問に思っていましたが、最近読んだ井上ひさし氏のエッセイの中に明快な解答がありました。 

まず名詞を二つのグループに分けます。

グループ1  更新、破壊、計算、恋愛、入学、失敗、起動、始末、総括

グループ2  視覚、モデル、抽象、仮想、民営、商品、企画、立体、平均

グループ1は動作名詞です。このグループはそのまま「する」を接続するとサ変動詞になります。それに対し動作名詞でないグループ2は、まず「化」を付けていったん動作名詞化してからでないと「する」を接続できません。

 

井上氏はある名詞が動作名詞かどうかを判定するのに、その名詞の後に「〜を行なう」を付けてみて、不自然な日本語にならなければ動作名詞であるとする方法を提案しています。これを(半ばふざけて)「井上式反応測定法」と呼んでいます。

グループ1は「更新を行なう」「破壊を行なう」とか、確かに日本語として成り立ちます。中には「失敗を行なう」みたいに少しおかしな表現になるものもありますが、ギリギリセーフでしょう。グループ2の方は完全に日本語として成り立ちません。例外もありますが、だいたいはこの法則が適用できます。

この法則に従えばやはり、「復号化する」よりは「復号する」の方が適切なようです。 

 

また井上氏はエッセイの中で、青春する、サラリーマンする、主婦する、みたいにこの法則が成り立たないものが、時に流行として使われることがあるとしています。しかしこういった法則を外れたものは不安定で、構造が弱く、そう長持ちしないとも言っておられます。

しかし最近気付いたのですが、法則の例外であるにも拘らず、「お茶する」みたいに完全に定着してしまったものもあるようです。

平成ポエム体の憂鬱

自分でブログを始めると他人がどんなブログを書いているか気になるものです。時々人様のブログ覗かせてもらったりしています。

そんな中でどうも気になる、というか理解できないのが、無意味に改行の多いブログが目につくことです。一文ごとに改行しているのはまだいい方で、文章の途中で改行しているもの多くあります。句読点の代わりに改行を使っているようなものもあります。どこかでこういう書き方を推奨している所があるのでしょうか?不気味なくらいこの手のブログが増殖しています。詩でも書いているつもりなのでしょか?個人的にこれを平成ポエム体と呼んでいます。

極端に左寄りでいたずらにスクロールを要求し、読みにくいことこの上ありません。一般的な傾向として、この手のブログは文章も稚拙で、内容も薄いものが多いような気がします。はっきり言って頭悪そうです。書いているご本人達はどう思っているのでしょうか?まあ文章から想像するに、そこまで知恵が回るとも思えません。何も考えていないのでしょう。

日本語の体をなしていないのに加えて、HTML的にも滅茶苦茶です。ソースを見てみると色々なパターンがあります。基本は<br />タグで改行していますが、各行に<br />タグが三つも四つも入っていたり、中には各行毎に<p></p>タグで区切っていたり、更に<div></div>で区切っていたりと実に様々です。

簡易編集機能を使っているのでしょうし、そもそもHTMLを理解するくらいの知恵があればこんな馬鹿けた書き方はしません。如何に変態的な書き方をしているか、まあ本人たちは意識すらしていないでしょう。

やはりこの手の文章に不快感を感じている人は多いようで、「ブログ 改行 多すぎ」などで検索するといくらでも記事が出てきます。

スマホなどから投稿するとこうなるだとか、広告スペースを設けるために改行を多くしているだとか、改行を多くすることでビューカウントを増やせるだとか、色々と都市伝説みたいな意見も見られますが、どれもあまり説得力がありません。

日本語と英語意外の言語は解しませんので断定的な事は言えませんが、この書き方は日本語特有の現象の様に思えます。多分2ちゃんねるあたりの書き方から来ているのかも知れません。

ブログの文章には紙に書く文章とはまた異なる文体があって然るべきだと思います。例えば、段落は紙の文章より短かくする傾向があります。画面上では改行の無い文が数十行も続くと読み飛ばしたくなります。かと言って一文毎に改行するのはやはりやり過ぎですが。

 Web文化が生み出した新しい文体と捉える事もできますが、文体とはそもそも表現方法を指すものです。単なる無知から来る、表現方法以前の問題であるポエム体を、例えば「村上春樹の文体」などと同列に語るには、あまりにも「文体」に失礼な気がします。

 

本田勝一氏の「日本語の作文技術」の中で、日本語のダメパターンを「無神経な文章」としてこき下しています。平成ポエム体は読み手の事を考えない新しい形の「無神経な文章」です。自分では決してこの様な文章は書くまいと心に決めています。